おめえに食わすチャーハンは無ぇ!

作家の値うち

作家の値うち

 「底意地の悪い森永卓郎」といった風貌の著者は、自慢話が多いし、背伸びしたオタク評論家とも見えなくもないが、「総理の値うち」同様、人間の評価に100点満点方式を使う。こういう仕事を持ってく編集者も意地くその悪い奴だろうなと思わせるね。毒舌で酒好きで、反面教師にしなければなりません。
 内容は、辛らつですが、さすが威張ってるだけあります。
 例えば、北村薫の項では、(63〜75点)

明快な方法論を備えた作家である。作品では、ほとんど殺人がおきない。世界はいつも透明であるし、さわやかである。論理によって日常の細やかな錯誤や幻像を探り、本質に切り込もうとする。
北村のそれ(アイデンティティの明快さ)は、きわめてストイックである。禁じ手を自らにたくさん課している。その禁じ手の中で、新しく展開される晴朗にして本質的な世界に、読者は舌を巻き続けるしかない。

 そして、渡辺淳一(22〜49点)は、

渡辺が「亡国的作家」とみなされるのは、紋切り型のポルノグラフィーそのままの性描写のためばかりではない。文章の緊張感の欠如、人間理解の浅さ、小説の構造の信じ難い安易さなどが目につくにもかかわらず、かような作品が多くの読者を集めていることをして、日本民族の「衰微」の明確な徴と受け取らざるを得ない。