これが日本だ。わたしの国だ。

ナショナリズムの克服 (集英社新書)

ナショナリズムの克服 (集英社新書)

 「朝生」で苦虫を噛み潰した表情で右派論者を糾弾する姜尚中教授が森巣博という作家によって話を引き出される対論集。眉間に深い皺を寄せたいつもの表情とはうって変わった肩の力の抜け具合で、教授の話が興味深い。
 とりわけ第1章の「講座名はズバリ、『日本ナショナリズム小史』」が整理されていて勉強になります。カルチュラル・スタディーズという知的潮流についても示唆を受けました。
 続く第2章では「知られざる在日韓国・朝鮮人二世の青春」として、教授の青春時代、在日の学生運動アイデンティティについての述懐です。後半、年は下って私の青春時代とダブる時期の述懐には「あぁ在日から見たらあの時代はこんな感じだったのか…」という発見というか感慨がわきますね。

昭和天皇崩御」の一報がメディアに流れた途端、バブル全盛期の東京から、光が消えたんです。新宿の飲み屋から出てきたときに、その光景に出会いました。それはもう圧巻でしたよ。そのとき、いっしょにいた在日一世が、これが日本だと言ったんです。これこそ、自分が知っている日本だと