伊丹ワールド満開

 集客を徹底的に意識した筈の伊丹にしては、作家的に過ぎる映画。身内の物語に誠実に向き合ったということか。
 東欧の人々にまくビラが美術的というか、伊丹流美術なのが面白い。ビラは汚いものという考えがあったのだろう。
 それにしても「Kの小説(少年の殺人と中年男のによる救済)」なるシークエンスの夢幻的な美しさはどうだろう。実に彼の映画には繰り返し死のイメージが描かれている。