謎の昭和史 人間のミス

昭和史 七つの謎 (講談社文庫)

昭和史 七つの謎 (講談社文庫)

 七つというのも恣意的な数字だし、全く新しい「謎」というのではないのでは。ただ番外編の「昭和天皇の『謎』」を「この本全体の通奏低音」として、著者は原武史(大正天皇の著者)と対談している。
 2002年に朝日新聞だったかセンセーショナルに取り上げられた「奥村メモ」を巡って…。

奥村の置かれた状況というのは何かと考えれば、彼は開戦時にかなり恥ずかしいというか、開戦通告の遅延という問題のあることをやってますよね。ところが、この通訳のあと、彼は、一回クビを切られて通訳が入れ替わりますでしょう。そして吉田(茂)内閣の下で外務次官になりますでしょう。とにかくいろいろある。だから奥村の人間の内面にまで入り込むというのかな、それが必要なんじゃないかという気がしますけどね。

 「恥ずかしい」とされているのは、昭和16年12月7日未明(ワシントン時間)、日本大使館一等書記官の奥村勝蔵が本省からの暗号電文「外交交渉の破棄・開戦通告」を遅刻とタイプ技術の稚拙さで国務長官ハルへの通告が遅れたことである。結果的に真珠湾攻撃は、歴史的には通告なしの奇襲攻撃にとされたのだ。
 新聞、テレビなどで見ていただけなので、なんとも言えないけど、「奥村メモ」の奥村がその人だとは取り上げられたのだろうか。