なぜいま人類史か

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なぜいま人類史か (洋泉社MC新書)

なぜいま人類史か (洋泉社MC新書)

 明治維新研究はこれまで、あまりに理論に煩わされて来たといえます。とにかく歴史解釈の理論があって、その理論をむりにあてはめんだために、不必要な迷路に入り込んできた、いやわざわざそれを作り出して来たと思います。…素直に見ると、幕府を倒壊させた張本人たちは、外圧に対抗できる強力な国家を欲した、そしてそのために倒幕に立ち上がったことは明らかです。
 明治維新の根本問題は、資本が完成しようとしている世界市場という場に、伝統的社会としての日本が曳きずり出されたということです。これが一切です。日本の悲劇も喜劇も、絶望も希望も、一切ここから始まったのです。日本ここではじめて世界史の舞台に曳き出されたのです。世界普遍性としての西欧との対決、これが維新のアルファでありオメガです。下世話な言い方で申し訳ないけど、日本は強姦されたんです。いずれ女にならなければならない運命だったんだけどね。強姦されたことで、彼女の青春は狂ったんです。それが明治・大正・昭和三代の、わが近代の狂想曲だったんです。こないだの敗戦で、彼女はやっと、少しは周りのことがわかる大人の女になったんです。

とんぼの本 須賀敦子が歩いた道

とんぼの本 須賀敦子が歩いた道

須賀の人生をたどる旅。松山巌の感慨がしみる。
ちばてつや--漫画家生活55周年記念号(文藝別冊)

ちばてつや--漫画家生活55周年記念号(文藝別冊)

ちばをリスペクトする漫画家たちのなんと多いことよ。作品世界と人格の陶冶との一致の幸福。底には巨人・手塚へのアンチテーゼが見え隠れする。