放送禁止歌 (知恵の森文庫)

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

 先日、ラジオから岡林信康の「手紙」が流れてきて、少々驚いた。司会は、つボイノリオ。勿論、放送禁止というかメディアが自粛している筈の局だからだ。この曲も「チューリップのアップリケ」もマスコミではタブーなのだと思っていた。行き過ぎた言葉狩りも最近では少し様子が変わって、昔の映画なども、当時の言葉をそのまま放送するというようなテロップ付が付くようになった。ひと昔前、勝新太郎の「悪名」だったか、台詞がブツブツに切られて何をいってるのか、さっぱり分からなかったりしたもんだが。
 森達也が関東圏の真夜中のドキュメンタリー番組で、「手紙」全曲を流したという。これも驚くべきことだが、「放送禁止歌」というものは存在しない。各局の判断に任された全くの自主規制なのである。つまり右へならへで自らタブーをつくり、表現の場を自ら奪っていたわけ、この国のメディアは…。
 岡林自身も、この曲をある時期から封印したように幻の曲となってしまったようだ。