再びちょっとした幸せ

自分はもう子どもじゃないみたいなことを認識した事件というか、瞬間が、僕にはあって、中学生の頃のことなんだけど。その時は新聞配達をしている最中だったんだけど、大雪の日だった。自転車で坂道を下るときにスリップしてしまって、積荷の朝刊は散乱するは、雨合羽ごとビショビショになった。それよりも打ち所が悪くって足の甲の部分を10センチほどパックリ割れたんだね。今でもその時の傷はヒキツレになって残っているんだけど、血はいっぱい出るわ、痛いわ、惨めだし、怒りも沸いてくるしだったわけだ。でも雪の中で泣く訳にもいかないし、第一泣いたって誰も助けてくれるわけじゃないんだよね。雪の朝だから静かなんだよね。その時思ったわけ。「俺も子どもじゃないんだから泣くわけにいかない」そう思ったら落ち着いてきて、販売店に戻って黙って配達を終えたわけ。勿論親にも内緒にした。男の子はそうやって大人になるんだね。
それで何故それがちょっとした幸せかというと、遥か後年になって、その事を娘に話した時に、静かに聞いてくれたことだ。まぜかえさず親父の経験を受け止めたわけ。その時にふと幸せ感を持ったな。

で、節分の鬼ですが、当然僕です。お面かぶりますよ、毎年。